器用の夕べ

自転車と映画と

札を手渡しさえすれば自転車は手に入るが

 

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札を手渡しさえすれば自転車は手に入るが、

この所有物を完全に理解するにはわたしの全人生が必要だ。

ジャン=ポール・サルトル

ぼくは今ここに”ある”ってだけでとくに標すようなことなんてなにもない、みたいなことをうじうじと、もしくは悶々と考えておる若人にそんなことは実際どうでもよいのだから自転車にのっておけ。とジャン=ポールサルトールはやっぱりフランス人なので鼓舞したわけなのだけれども、今年もまた行きつけみつけの自転車屋さんが主催するキャノンボールライドというイベントに参加して150kmを走破してみるとやっぱりフランス人はよいことをのたまうのだなぁ。と実感するのは、まぁー余計なことが頭からぬけて心地よい脚の痛みだけがあってそれでもペダルをこがなくてはゴールにたどりつけないのでほらやっぱり、ぼくは実存する。Dose the body rule the mind.-Morrissey-ってこととなり、そりゃー楽しいけーに決まっちょるじゃろ。で話は終わるはずなのであった。

 

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 さて、年に一回おこなわれるキャノンボールライドは100、150、250kmの3部門があり昨年より150km部門の参加を自分自身に義務づけておってまぁ、もうちょっと距離をのばすことは能力としてできなくもないが他人さまに迷惑をかけないってことを考えると上限距離だな。と考えていたのだけれども、今回走り終え完走の証である自転車屋さんより給された弁当を食べているときおい、物足りないぞ。みたいな感じがあってそれにメインイベントはあくまで250km部門だし今年は若人の参加人数もおおかったらしいし、と妙な競争意識が働き250が250。みたいなむくむくと自分の中で盛り上がっていった。。。。。気がしたのだけれども、こうして宅につきパソーコンをカッチカチやっていて冷静になってみるとわたしは若人ではないしいまだ脚も痛い。Does the mind rule the body.-Morrissey-ってことで、わたしはまだあまりこの所有物を理解していないことに少しだけ反省をするものの来年もまた参加したいイベントのお話でした。

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サルトールと1960年代つながりということでアタマの写真は森山大道ふうに加工してみました。いかがでしょうか。おぉ、私のサイクールスタイルです! カッコイィ。かね?

中年の危機に陥った男の典型的な買い物

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「楽しいサイクルジャージの夕べ」なんつうことを書きちらかしているくせに、

 

myahgo-ultra.hatenablog.jp

 

実のところ、サイクールウェアは大概ヤフオクで他人のお古を入手したりとこれまで万札をさしだすなんてことはなかったわけだし、デザインについてはシンプールなものに関心が向きがちでとなるとラファー。なのだがラファーはどこからどうみてもラファー。ってのがなんとまあ嫌みたらしく私にはみえてしまい加えて大枚をはたくことに躊躇もするし、アソスはア、ソウスね。ぐらいでくだらないことを言って受け流しやっぱり大枚がとんでいくのが嫌だったりする。いずれにしろ加齢を重ねるにつれコストパッフォーマンスに優れなおかつやたらと派手な装いが好みとなっていき大事なのは他人とかぶらないってことだ。ぐらいの気持ちで挑んできたわけなのだが、こん度とうとういいお値段のするQ36.5(きゅーさんじゅうろくてんご)を一式そろえおぉ、似合ってるぜ。とひとり鏡の前で悦にはいっているのでインプレシオンをしてみようと思った次第なのである。

Q36.5(きゅーさんじゅうろくてんご)のフラワーパワージャージは、昨年の発表の段階で行きつけみつけの自転車屋さんが「これ、ぜったい似合うよ!」とスマートフォンで展示会の画像を見せてくれて「あぁ、それはそうだ。私にはぜったい似合うし、かっこういいなぁ」と購買欲を刺激されつつもなにせQ36.5(きゅーさんじゅうろくてんご)なので一体いくらぐらいなのかしらと警戒をもしていたところずいぶんと月日がたって、全く違う用件で自転車屋さんに行くと「あ、来た来た。取り置きしといたよっ!」とイナダくんではなく社長直々に声をかけられQ36.5(きゅーさんじゅうろくてんご)の件はすっかり忘れていたのだけれども大人の付き合い、人と人とのつながり、絆、同好の士。店と客。小売業者と消費者。なんていうホモソーシャルな関係性を大事とすることを旨とする私はその信条に沿って購入を決意したのであった。さっそくライードで着てみたところ、まぁ若干サイズ感がゆるくとはいっても他メーカーでいうレギュラーフィット、街乗りとかカジューアルな着こなしってやつですか? とは違い、背中から脇にかけては張り付くようにピッタリとしてはいるものの胸部あたりにやたら布があまり、これはワンサイズ間違ったか、それとも女性専用? と思いつつペダルを回していてふと、風によるばたつきが煩わしくないというよりそもそも気づかないことに気づき、うむ。これは良い。というのはQ36.5(きゅーさんじゅうろくてんご)はやたら軽い生地で成っておるのがセールスポイントらしくさすが高級ジャージであるしまぁ、結局自転車の世界においてはジャージひとつでも軽さが正義ってことを実感したわけでこの峠ライードで自己ベストがでてしまったのもその数gの差のおかげかもしれない。

さて、こうしてお気に入りジャージがまたひとつ増え、充足感に満ちたまま出会いを演出してくれた行きつけみつけの自転車屋さんに感謝をささげようと、毎週催しているサイクリングに出席をしたところ、Mamma Mia !! C'est pas vrai !(セパヴレ!)。見事に他人とかぶってしまったのである。よく考えればこうした優れた商品を一着だけ仕入れているなんてことがあるはずはなく、その日のペダルはやたらと重くDo not Finishであったのは言うまでもない。あっ、ビブショーツの件ですけれども、そもそもずーっとレーパンをはいてきて初めてのビブであったわけでライード後の恒例となっていたトイレタイムがなくなったってことが全てを物語っているのではないでしょうか。これも手にとるとやたらと軽く見た目とのギャップに驚くブツです。